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40 若衆しぐれ(純愛忠臣蔵シリーズ4)
(解題)
つばめ出版発行。 本編132ページ。 昭和40(1965)年2月頃に出版された。 『書籍雑誌卸月報』には前年の12月号に出版広告が載っているのを確認。 「純愛忠臣蔵シリーズ」の第四作目は、表紙にも記されている通り、赤穂四十七士の中では年少者として知られる矢頭右衛門七と大石主税が主人公。 物語の前半部「天の巻」では、右衛門七と主税の友情、そして、主税の恋が描かれ、その恋の結末は、人形浄瑠璃・歌舞伎の「假名手本忠臣蔵」九段目のストーリーをアレンジした内容になっている。 また、後半部「地の巻」では、討ち入り間近の右衛門七と吉良家に出入りする茶問屋の娘・お千の儚い恋物語が綴られる。 人気のある若衆達の物語ゆえ、全体的に甘美で切ない、とても感傷的な作品である。 この作品は、後にリメイクされ、「剛夕忠臣蔵」シリーズの一つとして『別冊漫画アクション』昭和45(1970)年9月26日号、10月10日号、10月24日号に全三回連載された。
(あらすじ) 矢頭長助の息子・右衛門七は、足軽の子という身分の低さゆえ、いつも周囲から蔑まれていたが、城代家老大石内蔵助の長男・主税だけは、右衛門七を差別しなかった。 右衛門七の家はとても貧しく、父親の長助は長らく病床に臥せていた。 ある日、右衛門七は、小浪という名の美しい娘と出会う。 小浪は、公儀の役人である父・梶川与惣兵衛に連れられて、江戸からこの赤穂に来ていたのだった。 右衛門七は小浪のあまりの美しさに淡い恋心を抱いた。 しかし、彼女は主税の許嫁であった。 それを知って、右衛門七は小浪のことを諦める。 主税は小浪に一年後江戸での再会を約束する。 与惣兵衛と小浪は近い将来の再会を楽しみにしつつ、名残惜しげに赤穂を去った。 しかし運命の悪戯は、大石家だけでなく、梶川の家にも苦しみの雨を降らせた。 殿中松の廊下での事件の際、与惣兵衛は、吉良上野介に刃を向けた浅野内匠頭を組み止めて、本懐を遂げさせなかったのである。 この功績により、与惣兵衛は五百石の加増を賜ったが、周囲からは武士の情けを知らぬでしゃばり者との陰口を囁かれた。 与惣兵衛は自責の念に囚われ、絶望した。 そして、小浪に主税との幸せを壊してしまったことを謝るのだった。
その頃、赤穂では、籠城・開城・殉死を巡って、家臣一同議論白熱の状態にあった。 結局、評議は殉死に一決したが、軽輩の身で病床の父を抱え、おまけに年少者であった右衛門七は、殉死の仲間に加えてもらえなかった。 病床の父・長助は、その身を恥じて切腹。 殉死決行の夜、右衛門七は大石内蔵助らに懇願して、ようやく仲間に加えてもらう。 さあ、殉死、というその時、内蔵助がついにその本心を打ち明ける。 殉死は取り止め、開城明け渡しと決まった。 それからしばらくして、大石の一家は、京都・山科に移り住んだ。 夜な夜な祇園などで遊興に耽る内蔵助。 だが、主税も右衛門七も内蔵助のことを信じていた。 ある夜、はるばる江戸から小浪とその母・戸無瀬が山科の閑居を訪ねて来た。 戸無瀬は、娘・小浪と主税の結婚を願い出るが、内蔵助は拒絶する。 悲嘆に暮れた母と娘は、自害して果てようとするが…。 |
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