クリックすると大きい画像が見られます

39 忍法赤穂城(純愛忠臣蔵シリーズ4)

(解題)
つばめ出版発行。 本編131ページ。 昭和39(1964)年12月頃に出版された。 『書籍雑誌卸月報』には同年の10月号に出版広告が載っているのを確認。 「純愛忠臣蔵シリーズ」の第三作は、娯楽性の強い異色編。 四十七士の一人で唯一切腹せずに天寿を全うした寺坂吉右衛門が、実は吉良家に仕える伊賀忍者の出身であったという設定や、吉良と浅野の対立は製塩法を巡る争いに端を発していて、その裏では両家に仕える忍者の暗闘があったという筋立ては、とても興味をそそる。 人気キャラクターの女忍者・おぼろも登場してこの面白いドラマに花を添えている。 この作品は、後年「忍法忠臣蔵」と改題されて再版されている。 また、「おぼろ忠臣蔵」というタイトルでリメイクもされ、『別冊漫画アクション』昭和43(1968)年10月号に掲載された。

(あらすじ)
吉良上野介は領国の産業振興のため塩田開発に着手したが、うまくいかなかった。 そのため、有名な「赤穂塩」を特産としていた播州赤穂・浅野家に製塩技術の教えを乞うたが、浅野家はその技術を秘伝として頑として教えなかった。 何としても製塩法を知りたい吉良家は、手飼いの伊賀忍者を浅野家に放ってその技術を盗もうとした。 浅野側も黙っていられない。 秘密としてきた特産品の製法が他国に知られれば、大変な損害だからである。 かくして、浅野家に仕える甲賀忍者と吉良方の忍者の死闘が始まった。 吉良方の忍者は、浅野側の堅い防御に苦戦し、次々と犠牲者を出していった。 劣勢を挽回すべく、吉良方の忍者の首領は、忍びの身分を嫌い侍に憧れる変わり者のキチに、製塩法を探る大役を命じる。 キチは役目に乗り気ではなかったが、自分を差し置いて妹のおぼろが勝手に赤穂へ旅立ってしまったため、その後を追って赤穂藩に潜入する。 そして紆余曲折の末、赤穂城内への潜入に成功するが…。