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38 すみだ川
(解題)
つばめ出版発行。 本編127ページ。 昭和39(1964)年10月頃に出版された。 話題沸騰の「純愛忠臣蔵シリーズ」から再び「長篇大ロマン」に戻っての一作。 主家の娘と奉公人の恋愛話は、第33巻「ふり袖日傘」と同じ設定だが、有名な原作のある「ふり袖日傘」がロマンチシズムとドラマツルギーに主眼を置いた作りだったのに対して、この「すみだ川」は、ドラマチックな展開を極力排し、一組の男女の十数年に亘る感情の流れだけを静かに追った作品となっている。 低調だった「木戸は開かれた」とは違い、登場人物の心理描写がきっちりと練り込まれた秀作である。 この作品は後にリメイクされ、『別冊漫画アクション』昭和45(1970)年5月23日号と6月13日号に全二回連載された。
(あらすじ)
孤児の巳之吉は境内で泣いているところを蔵前の海産物問屋・菱屋の家族に拾われ、丁稚として働くことになる。 菱屋にはおしんという娘がいたが、彼女は勝気でプライドが高いので、無口で内向的な巳之吉とは初めはうまくいかなかった。 だが、そんな二人の関係に変化が訪れる。 おしんが外出にあたって巳之吉にお供を命じた時のことである。 廻船問屋・ぬか屋の息子で不良の久次郎がおしんに絡んできた。 お供の巳之吉は奉公人の務めとして彼女を必死に守った。 それを境に、勝気なおしんの心に優しさが芽生える。 一方、巳之吉の心にも主人の娘であるという畏敬の念とは別の感情が生まれる。 それは、お互い気付かぬままに静かに育っていった。 そして、年月が経ち、年頃のおしんに両親は縁談を持ちかける…。 |
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