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21 乱菊くろかみ帖


(解題)
つばめ出版発行。 本編158ページ。 昭和38(1963)年3月頃に出版された。 帝の子でありながら庶子として日陰者の道を歩まねばならなかった美剣士・陽炎菊太郎の悲恋と剣戟を描いた作品。 よくあるセンチメンタルな物語を手堅く仕上げている。 この作品は後に小島自身によってリメイクされ、『別冊漫画アクション』昭和44(1966)年6月号と7月号に全二回連載された。

(あらすじ)
禁門の掟として、高貴な血に庶民の血が入ってはならぬ。 そのために、陽炎菊太郎の母は殺された。 帝の子を産んだばかりに…。 形見に残された陽炎丸の宝刀が新たな災いを呼ぶ。 菊太郎成人の日、柳生門人の言い掛かりによって長年菊太郎を育ててきた乳母が殺された。 復讐のため菊太郎は陽炎丸を鞘から抜く。 その日から、菊太郎の血みどろの戦いが始まった。 彼の悲しみの叫びは父である帝の耳に届くのであろうか。


(補足/by風かをる)
時代背景もストーリーも違いますがラストシーンがよく似た作品があります。 「オール怪談67」に掲載された『くろ髪遺恨』です。 ラスト、黒髪に抱かれて滝つぼに落ちてゆく主人公の姿がこの乱菊くろかみ帖の菊太郎にダブります。  (画像は「探求日誌」に掲載) なお、この作品は「剣は知っていた」(ひばりコミックス/昭和42年8月15日)と改題して再発行されています。 A5判から新書判に「判」を変更、題名は『長篇大ロマン』を意識しないものに変更されたのではないかと思われます。 令和になって『斬鬼』という時代劇雑誌に復刻されましたが、残念ながら前編のみで後編の掲載が持ち越されています。