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4 うず潮の果て


(解題)
つばめ出版発行。 本編135ページ。 昭和36(1961)年7月頃に短編誌『怪談』の増刊として出版された。 初期作品『隠密黒妖伝』の主人公風早隼人と全く同じ名前の主人公が登場。 御庭番である設定も同じ。 また主人公が将軍から直に命令を受け虚無僧姿に変装して江戸を出発するまでのシークエンスも『隠密黒妖伝』とかなり似ている。 多忙によるものなのか、少々手抜きの感もしなくもない。 しかし、『隠密黒妖伝』がハッピーエンドなのに対して、この『うず潮の果て』は大悲劇に終わる。

(あらすじ)
公儀御庭番風早隼人は、阿波藩蜂須賀家に伝わる秘文書の入手を将軍直々に命じられる。 それは、二十年前阿波藩に潜入し行方不明になった父才助と同じ任務であった。 父と共に潜入したもう一人の隠密風待将監も同じく行方不明。 隼人は恋人千鶴を江戸に残してひとり阿波へと旅立つ。 隼人に恋い焦がれる千鶴はくぐつ師の姿で後を追った。 鳴門海峡を渡って早々、阿波藩の隠し目付が隼人を襲った。 窮地を救ったのは、千鶴の面影を宿す美しい娘双葉だった。 だが、医者である双葉の父こそ、二十年前に隼人の父才助を裏切った風待将監その人であった。


(補足/by風かをる)
カテゴリ『長篇大ロマン』、「うず潮の果て」参照