小島剛夕のこと





小島剛夕先生がまだご存命中に『風かをるの青時代』の初期サイトに『小島剛夕の世界』が間借りながらも存在していました。 「風かをるの独り言」(旧・日記)に剛夕先生の話題が初めて登場するのは平成13年8月5日です。 剛夕先生はその前年の1月5日逝去されています。 新聞記事で亡くなられたことを知り、ネットで訃報の記事を探して何度も読み返した記憶があります。 風かをるの剛夕先生への思いを知っていただきたく、2001年8月5日の日記の内容をご紹介いたします。

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本当に久しぶりに普通の本屋さん(新刊本屋さん)に注文をして定価で本を買った!!なんたって、欲しいと思ったら定価の10倍、20倍以上で古本を購入するぐらいあたりまえの世界だからして、定価で買うことになんとも妙な気持ちさえする。 それは、まあ置いといて、久しぶりに買った本というのが小島剛夕先生の遺稿集『華別れ』だ。 少し大判のイラスト集のような豪華本だ。 いろいろな先生が追悼文を載せている。 風かをるもこの先生方に負けないくらい剛夕先生の作品を愛してきた大ファンだ。 懐かしい貸し本時代の本の表紙絵がずらっと並んでいる・・・。 自然に涙腺がゆるんでくる。 この遺稿集を手にとって読むまでは自分の中で剛夕先生は確かに生きていらした・・・。 しかし、本を読み進むうちに先生がお亡くなりになったという事実がこれでもかというように胸に迫ってくる・・・。 表紙見返しに先生の奥様の「華別れ」という一文がある。この文が泣ける・・・。 私はこの先生の奥様の文章を読んだだけでもこの本の定価分の価値があると思った。 この文を読み、先生のお描きになる女性像が(同姓の私がみても)どうしてこうも魅力的なのかという理由をはっきりと知ったのである。 私はある意味では小島剛夕という作者そのものにはあまりというかほとんど興味を持たなかった。 只、好きだから・・・他に何の理由も理屈もなく三十数年の昔から先生の本を買ってきた。 その私が、初めて小島剛夕という作者を意識して、先生のことを知りたくて本を買った・・・その名も哀しい『華別れ』・・・。 (2001/08/05記)
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仏間の窓外に見える梅の古木が今年もまた一面の紅色に染まりました/夫が壮健な頃は/それが早春のきらめきとして映ったものですが/鮮やかな紅の奥に/哀しみが宿る年となりました…略…別れは初雪の舞った日でございました/夫も私も雪が大好きで/その度に 「おーい奥 雪だぞォ」と大声で/呼びかけてくれたものです…略

先生は奥様を「奥」と読んでいらっしゃいました。 初雪が舞う中、逝かれた先生。 奥様は最後に次のように結ばれています。
― 二人に相応しい華別れでございました ― (参考作品:「華別れ」)