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32 美女ざくら

(解題)
つばめ出版発行。 本編132ページ。 昭和39(1964)年2月頃に出版された。 『書籍雑誌卸月報』には同年の1月号と2月号に出版広告が載っているのを確認。 高山城主の娘・明姫と明智光秀の叶わぬ恋に始まる四代数十年に亘る悲恋の歴史ドラマ。 極めて複雑な人物関係にもかかわらず、卓越した構成力で破綻のない物語となっている。 悲しい悲恋物語である明姫と明智光秀のシークエンスは、後年『週刊漫画アクション』に連載された戦国時代劇「戦国風忍伝」(1967〜1968年)に転用された。 「戦国風忍伝」では、キリシタン大名・高山右近は明姫と明智光秀の間に出来た子、という設定になっているが、原型であるこの「美女ざくら」ではそのような設定にはなっていない。

(あらすじ)
政略結婚を目前に控えた高山城主の娘・明姫は、若き日の明智光秀と恋に落ちるが、周囲の人々はそれを許さなかった。 二人の愛は引き裂かれ、明姫は別の男の妻となった。 月日が経って、明姫の息子・高山右近は、明智光秀の娘・玉姫(ガラシャ)と相思相愛の仲となるが、織田信長の命により玉姫は細川忠興のもとへ嫁ぐことになる。 悲しい恋の定めはさらに続き、高山右近の娘、そして孫娘へと、悲恋の系譜は引き継がれていくのだった。


(補足/by風かをる)
カテゴリ『長篇大ロマン』、「美女ざくら」参照