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31 お嬢吉三
(解題)
つばめ出版発行。 本編146ページ。 昭和39(1964)年1月頃に出版された。 『書籍雑誌卸月報』には前年の10月号と11月号に出版広告が載っているのを確認。 「名作劇場」が四冊で打ち止めとなり、再び「長篇大ロマン」シリーズに立ち返って発表された一作。 題名の通り、二代目河竹新七(後の河竹黙阿弥)が安政7(1860)年正月に発表した歌舞伎の「三人吉三廓初買(さんにんきちざくるわのはつがい)」が元ネタとなっている。 人間関係の複雑な原作芝居を手際よく改変して読み易いものにまとめた手腕は見事である。
(あらすじ) 捨て子だった吉三郎は、旗本乾家の当主に拾われ実子同然に育てられてきたが、心に想う篠と弟の十三郎が婚約し、正当な血筋の十三郎が家督を継ぐと知って、家を出る。 いつしか無頼の徒となった吉三郎は、妙齢の娘姿で悪事を働き、「お嬢吉三」と呼ばれ恐れられていた。 ある夜、町娘から百両の大金を奪った吉三郎は、誤ってその娘を川へ突き落してしまう。 一部始終を見ていた御家人崩れの「お坊吉三」は、「お嬢吉三」から百両を奪おうと刀を抜く。 そこへ仲裁に入ったのは、坊主上がりの「お尚吉三」だった。 これを縁に同じ名前を持つ三悪人は、義兄弟の杯を交わす。
それから暫く経ったある日のこと。 寺の境内でヤクザと喧嘩の最中の「お嬢吉三」は、かつての想い人篠と偶然目が合い、気が緩んだ隙に脇腹を刺されてしまう。 倒れ込む「お嬢吉三」を救ったのは、近くの料理屋の娘おとせせあった。 おとせとの温かい心の触れ合いを通して、「お嬢吉三」は堅気になろうと心を固める。 だが、百両を奪った時に川へ突き落したあの娘がおとせであることを知って、「お嬢吉三」は良心の呵責に耐えられなくなる。 |
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