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10 花の濡れ燕


(解題)
つばめ出版発行。 本編128ページ。 昭和37(1962)年3月頃に出版された。 表紙絵を見れば一目瞭然。 色男・佐々木小次郎の恋と戦いをロマンチックに描く。 前作『千姫絵巻』から第13作『お七狂乱』までは、よく知られた題材の物語が立て続けに並ぶ。 これらが読者からの要望に応えた結果であることは『南海の美少年 天草四郎』『お七狂乱』の読者欄「花のたより」や『絵島生島』の執筆後記に記されているが、ややオリジナリティに欠けてしまったのは否めない。

(あらすじ)
小太刀を得意とする富田勢源の門下でありながら、長刀を駆使する技を編み出した佐々木小次郎は、師勢源に破門を言い渡され、愛する兎弥(とね)と別れて諸国放浪の旅に出た。 兎弥への想いを胸に秘め、剣の夢を追い求める小次郎の旅は、やがて九州・小倉へと辿り着く。 小次郎の後を追う兎弥。 小次郎に剣の夢を捨てろと迫る琉球の女・美美(みみ)。 二人の女の願いも空しく、剣の夢に憑かれた小次郎は、宿敵・宮本武蔵との決戦の地・巌流島へと赴くのだった。


(補足/by風かをる)
カテゴリ『長篇大ロマン』、「花の濡れ燕」参照