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2 赤い雲の峰


(解題)
つばめ出版発行。 本編135ページ。 昭和36(1961)年5月頃に短編誌『怪談』の増刊として出版された。 第1巻『花の炎』に掲載された次号予告では、第2巻のタイトルは「静心なく・・・」となっている。 また、『書籍雑誌卸月報』昭和36年4月号の広告には「十六夜月」の題名が載っている。 しかし、実際に出版されたのは、この『赤い雲の峰』である。 「静心なく・・・」または「十六夜月」と題された長編単行本はいずれも出版されていないが、同じタイトルの短編は両方とも存在する。 「十六夜月」は『怪談』第34号(昭和36年5月刊)に、「静心なく・・・」は「静こころなく・・・」と表記を一部変えて『怪談』第36号(昭和36年7月刊)に掲載された。 タイトルや題材の変更は、シリーズ初期の試行錯誤を感じさせて興味深い。

(あらすじ)
失踪した兄丞馬に代わり甲府勤番として着任した織部京之助は、川のほとりで美しい娘に出会う。 娘は名を明香(さやか)といい、山奥の里に住む根帯衆の頭領の血を引く者だった。 二人はすぐに恋に落ちるが、病弱な明香の命はあとわずかであった。 兄の同僚に黒塚弥十郎という男がいた。 兄の親友と称して弥十郎は京之助に付きまとう。 弥十郎の狙いは、根帯の里の奥に隠された金鉱だった。


(補足/by風かをる)
カテゴリ『長篇大ロマン』、「赤い雲の峰」参照