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B6判 「必殺剣乱れ柳」


(解題)
ひばり書房発行。 本編128ページ。 「ひばりの漫画全集」第364巻として昭和33(1958)年11月頃に出版された。 大塩平八郎の乱の残党狩りと称して無法を働く暗殺集団「六法組」の真の目的とは? 謎の素浪人五月雨主水(実は大目付支配下の隠密で卯月柳四郎)が主人公の娯楽時代劇。 手塚キャラの下田警部にそっくりな岡っ引きも登場。 絵の出来は申し分ないが、ストーリー展開がやや平凡。 そのため前二作に比べて、登場人物の影が薄いような気がする。

(あらすじ)
大塩の乱の残党を暗殺するよう幕府の後押しを受ける謎の集団「六法組」。 大塩門下の京極辰之進・数馬の兄弟も「六法組」に命を狙われる。 あわやというところを救ったのは、謎の素浪人五月雨主水。 彼の正体は隠密で、本名は卯月柳四郎。 将軍家直々の命令により「六法組」の背後で糸を引く人物を突き止めようと密かに探っていたのだ。 「六法組」に与する辻斬り「銭かげろう」と生き別れの息子の再会のエピソードを挟みつつ、幕政を巡る陰謀が暴かれていく。


(補足/by風かをる)
「必殺剣乱れ柳」が発行されるおよそ2年半前に集英社から発行された「おもしろブック」に【はやぶさ剣士】という絵物語が約半年間掲載されています。(昭和31年6月号〜12月号) 全話を所有しているわけではありませんがストーリーが「必殺剣乱れ柳」に酷似しています。 細部は組み立て直してはいますが大筋ではほぼ同じであると言って差し支えないと思います。

剛夕先生は昭和30年代前半、少年誌に多くの絵物語を掲載しています。 「無明逆風剣」から1〜2か月後の長編漫画発行となれば殺人的と言ってよいほど多忙を極めていたことは容易に想像がつきます。 絵も少々荒れている感じがしますし、成瀬氏が「ストーリー展開がやや平凡。 そのため前二作に比べて、登場人物の影が薄いような気がする。」という感想を持たれたのも頷けます。