成瀬正祐氏に初めてお会いしたのは2011年8月のことです。 成瀬氏の『小島剛夕・レトロスペクティブ』という資料を「探求日誌」、及び「小島剛夕の世界」でご紹介することになった経緯を臨場感あふれる日記(風かをるの独り言)の文章でお伝えいたします。


さて、「マンガ仲間の飲み会」で成瀬氏とお会いして名刺をいただいた。 その名刺の肩書きに「有限会社 犬山城」とあった。 ンン・・・? 犬山城ってあの国宝の犬山城? 成瀬氏? アララララ・・・。 世が世であれば平伏するところ。 お殿様ではありませんか!? 

でも、今は平成の世。 よかった♪ そして成瀬氏がカバンから取り出したものは? 「まんだらけZENBU50、51号」の2冊の雑誌。 分厚くて紙質も良いのでかなり重たい。 成瀬氏は現在貸本マンガ蒐集の成果を「まんだらけZENBU]に『護美の山』として連載中である。 そして50号からその特別編として『護美之国』〜小島剛夕レトロスペクティブ〜を掲載している。 その(1)、(2)が載っている「まんだらけZENBU」をいただいたのだ。 いやはや驚いたの何のって・・・! その(1)には風かをるが管理人をしている「小島剛夕の世界」の記載もあるではないか!?

そして、これでもかというように貴重な作品の画像が惜しげもなく並んでいる。 真新しいインクの匂いが鼻をくすぐる。 もう、目が点になってしまった風かをる。 すごい資料をいただいてラッキー♪と思ったのは一瞬ですぐになんだか先を越されてひどく悔しくなってしまった。

アウ〜! ちんたら作品蒐集している場合じゃなかった! 探求が頭打ちになった時点で資料の整理を始めなければいけないことは重々わかっていた。 まとめ方やサイトのリニューアルをぼんやりと頭の中で考えているうちに目の前に見本が並べられてしまったのだ。 半分引きつって「ダメじゃないですか! 私の仕事ですよ! これはぁ〜!」などとわけのわからない言葉を発する風かをる。

成瀬氏はにこやかに笑いながら、

「いやあ、僕はあくまでも紙オンリーですから。 どうぞネット社会できちんとまとめてください。」 
「うう・・・。 じゃあ、じゃあ、この資料、参考にしちゃっていいですかぁ〜?」 
「どうぞ、どうぞ、もし風さんが見てここは違うってとこありましたら、遠慮なく指摘してください。」

それでも心穏やかではない風かをる。 貸本時代の作品に限られてはいるが、垂涎のお宝画像が満載だ。 現物を見たい! 内容が知りたい! いやあ、マジでめちゃくちゃ羨ましい。 ひたすら画像に見入る風かをるに成瀬氏が余裕の一言。

「風さんと僕の作品を足したら剛夕さんの貸本時代の作品はほとんど網羅できるんじゃないですか?」

いえいえ、成瀬氏の所蔵のみで十分網羅していらっしゃいます! なんて妬みと嫉妬はこのくらいにして、ガチでここまで剛夕作品について語り合える人と出会ったのは初めてだ。 なにしろ○○作品、第何巻の後半はどうのこうのという話で、そのままコマ割や話の流れが通じてしまうのだ。 成瀬氏と風かをるの剛夕の世界にどっぷりと浸ったやりとりに相田四様の一言。 「いやいや、こちらではまったく知らない本の名前が飛び交ってますな。(笑)」(2011年8月29日)